「100分de名著」は大好きな番組ですが、今回、立木(ついき)康介先生が出演されることを、テキストをお送りいただき初めて知りました。
立木先生との接点は意外なことに「上海」なのです。
関西日仏学館の歴史を調べておられる立木班と私たちの上海フランス租界班が共通のキーパーソン、シャルル・グロボワを通じて結びついたのです。
グロボワは戦後、関西日仏学館の館長を務めていましたが、その前は30余年、上海で音楽評論の執筆を通じて楽壇を牽引していました。教育総監でもあり、自由フランス運動家でもある多面的で複雑な人物です。
さて、フロイトの夢判断の番組テキストはわずか113ページですが、凝縮された文章、それでいて流れがよく、インパクトがある名言があちこちに散りばめられています。読み始めると止まらなくなり、一晩で読了しました。
特に、最後の3ページは圧巻で、フロイトを「夜の、冥界の思考者である」と締めくくられています。人間の真の願望は夢の中に表出する、それを分析することができれば、夢は未来に繋がる‥‥。
この結びの言葉に長年、ラカンを研究し、自らもフロイトの精神分析の系譜に立たれている著者ならではの深い洞察を感じました。
当然、フロイトの「夢判断」を早速、注文しました。