ようこそ井口淳子研究室へ(NEW)

民族音楽学、音楽学研究者。近刊は「送別の餃子:中国都市と農村肖像画」jiguchi@daion.ac.jp

戦前と変わってないやん!

今週は絶不調に陥り、胃痛のため休講してしまいました。

4月のスタート時に学生の皆さんには申し訳ないです。

 

胃痛でも朝ドラを見てるんかい!と言われそうですが、NHK「虎に翼」もう目が離せませんね。

時代は1930年代、女性には参政権をはじめてとしてなんらの権利もなかった時代、弁護士になれるかどうかもわからない中、法学部で学ぶ女子たち。

 

でも、観ていて、ものすごく脱力感を感じるのです。

今は2024年、100年近くたっているのに、いまだに私たちには様々な不可解な法律の壁があるのです。

代表格が「夫婦別姓」が認められていないこと。

結婚すると夫婦どちらかの姓を名乗りますが、一般的には夫の姓になります。

私は29歳で結婚し、夫の姓になったのですが、すでに研究活動を始めていたので通称という形で井口を名乗り続けています。

しかし、銀行口座もパスポートもマイナンバーも全ての重要書類は普段使っていない夫の姓なのです。

これまでで、一番まいったのが、学会の支部長口座を開くときでした。大手銀行は全てNo、本姓の口座しか受け付けないの一点張りでした。最終的に地方信用金庫がどうにか通称での口座開設を認めてくれました。

次に怖かったのがパスポートの姓名と招聘状の姓名が違うということで海外で揉めたこと。ホテルでも揉めたし、図書館でも。下手すると入館できない事態もありえました。はるばる海外渡航して目的の図書館に入館できない!?

 

究極の話として、私が今、突然死したとして、亡くなった人物が名乗っている姓名の口座はこの世に存在しません。

一生、汗水流して働いて築いたささやかな預金すら自分の名前で所有できないのです!

だったらペイパー離婚して別姓にすれば?と思われるでしょう。

それはそれで数多くのハードルが待ち受けています。家族の緊急手術や公的手続きetc.

 

ちなみに、私が通称を使い、周囲の人が井口さんと呼んでいても、子どもたちも夫もなんら違和感を持っていません。むしろ本姓の方に「それ誰?」って反応です。ですから家族の一体感と夫婦別姓は関係ありません。

 

100年経っても、夫婦別姓すら実現できない。

100年前なら、どんな理不尽なことが起きても不思議ではないです。

 

戦前戦後に多くの先人が女性第一号として奮闘したその先に今がある。しかし、それにしてはあまりにあまりです。

こんな状況が続くなら非婚と少子化は当然でしょう。

細々した支援金を支給するより、根幹の問題に目を向けていただきたい。

 

漢代の画像石 虎に翼がありますね。

漢代 画像石 陝西省