授業が終わった後の成績評価、シラバス、各種業務の合間に読んだ本の中でお勧めしたい本を二冊。
プロコフィエフ短編集
子ども向けの本かと思いきや、後半に収められた作曲家の日記が格別におもしろい!(小説、幻想小説?は全くおもしろくないです)
ロシア革命後の1918年、27歳のプロコフィエフはシベリア鉄道で日本へ。アメリカへ渡るにもビザや船の問題で二ヶ月も足止め。
帝国劇場、横浜グランドホテル、京都、奈良と手持ちのルーブルが心細い中、日々の感情の振幅が率直に綴られている。
27歳ですでに自分が天才だと信じている!
どこに行っても金髪の若きロシア人はモテモテだった!
同時代の作曲家をこき下ろしたり、リサイタルで世話になった興行主、ストロークに悪態をついたり。
ワガママで自尊心が高くて、でもずっとお金の心配をしている。モダンな音楽を理解できない日本の聴衆や全く席が埋まらなかったリサイタル。
日記はおもしろいなあ。
あのころ、天皇は神だった(原題 When the emperor was divine)ジュン・オオツカ
トパーズ収容所のことを知りたいと思い、探していたらありました!すばらしい文学作品。
戦争中、日系人が収容所に送られたことは知っていても、皆生きて帰られたからまあまだマシだ、なんて思っていたら全く違いました。
一つだけエピソードをあげるなら、収容所に出かける前にとても賢くてかわいい飼い犬シロをシャベルで一撃して庭に埋めるのです。置いていくとジャップ憎しでどんな目にあうかわからないから。
その後、ユタ州の砂漠の中の収容所で起きた出来事は辛すぎる。
一人、耳の遠い男性がフェンスの向こうにある花を摘もうとして射殺されます。これはいまもその男性の親族を探しているジャーナリスト、ナンシー・ウカイ氏がおられて、その方は実は‥、やめておきましょう。
日本語版はタイトルが酷すぎると思われませんか。このタイトルだと絶対、手を伸ばしません。