ようこそ井口淳子研究室へ(NEW)

民族音楽学、音楽学研究者。近刊は「送別の餃子:中国都市と農村肖像画」jiguchi@daion.ac.jp

続きました!世界のしょうない音楽ワークショップの10年

世界のしょうない音楽ワークショップの10年

 

2014年12月12日、豊中市庄内に誕生!

 

第一回の<世界のしょうない音楽ワークショップ>(略して<世界のしょうない>)は2014年12月に「哲学カフェ×オーケストラ」という名称で始まりました。

阪急庄内駅前ビルに、日本センチュリーの楽団員が練習後駆けつけ、音楽にほぼ縁のない参加者や小学生もまじり、90分間のワークショップを体験したのです。(哲学カフェというのは楽団員と参加者が円になり、哲学者、西川勝さんとともに自由に対話を楽しむ時間でした)

皆さん終始、笑顔で、遠方から参加した方が「楽譜にかかれていることを演奏することに必死になってきたけれど、こういう音楽にもひかれる」と発言されたことが印象に残っています。

 センチュリーの団員がはさみこむとても繊細な音の工夫にも、野村誠さんはすぐに反応し指示を出され、当初より息がぴったり合っていました。

 

 初年度の本番、音楽祭は商店街の雑居ビルの中で開催されました。ステージの真ん中に大きな柱がドーンとあり、ピアノは翌年からアップライトになりましたが、初年度はキーボードだったと思います。しょうないREKのメンバーが豊中市の職員とともに汗を流しながらパイプ椅子を並べて会場を整えてくださいました。

 

 そのような手づくりのワークショップでしたが、年々参加者が増え、2018年には豊中文化芸術センター大ホールで堂々、音楽祭を開催するまでに成長しました。この時の楽器はオーケストラの西洋楽器をはじめ、邦楽(箏、三絃、尺八)、民族楽器(ガムランシタール)、古楽器ヴィオラ・ダ・ガンバと子どもたちの各種打楽器、総勢63名が出演しました。

 

 ワークショップの流れも整ってきました。日本センチュリー交響楽団の楽団員、大阪音楽大学の教員や卒業生が楽器体験を先導し、野村誠さんがワークショップから生まれたリズムや旋律や歌詞などのアイディアをもとに毎年、新作を作曲、その全6回のワークショップの成果は音楽祭で披露されます。

 

 2020年初春にはコロナの影響で、作品ができているのに音楽祭が中止になったことは忘れがたい出来事でした。しかし、翌年もリモートでワークショップを開催するなど、工夫を重ねて継続されたのです。

 

 今年、2023年度はこのワークショップと音楽祭の10年目となります。なんと、初回からの参加者が数名、毎年参加されているのです!(これまでの参加者数はのべ450名近くにのぼります)。

 初回からずっと参加されているセンチュリーの楽団員も数名おられます。こんなに長く続くとは、ワークショップを企画された元、センチュリー・マネージャーの柿塚拓真さんも想像されていなかったのではないでしょうか。

 

 庄内という市場や商店街や音楽大学がある愛すべき下町に誕生した世界の楽器によるユニークなオーケストラは今年も世界にただ一つの響きをみなさまにお届けします!

 このワークショップのコンセプトは、「誰でも参加できる」ということです。年齢も音楽体験も何も関係しません。プロの音楽家もアマチュアもそれぞれの持ち味を発揮できるのです。

ともにステージで野村作品を演奏しませんか!

 

 

過去の音楽祭映像

 

2023年2月25日(土) 

会場:センチュリー・オーケストラハウス

曲目:ちりもつもればチャッコーナ(作曲:野村 誠 世界初演

出演:野村 誠(指揮・ピアノ) 市民メンバー、日本センチュリー交響楽団メンバー、大阪音楽大学講師メンバー 主催:豊中市 共催:日本センチュリー交響楽団 協力:大阪音楽大学

 

https://www.youtube.com/watch?v=vPdTErX5gkM

 

 

2022年2月26日(土)

日時:2022年2月26日(土)

会場:豊中市立ローズ文化ホール

曲目:雪つもり 時の流れが 春をよび ( 野村 誠作曲 世界初演)    

  1. 宮城道雄 洋楽に出会う    2. 菊武祥庭 洋楽に出会う 主催:豊中市共催:日本センチュリー交響楽団豊中市市民ホール指定管理者 協力:大阪音楽大学、しょうないREK

<公募で集まった参加者が作曲家・野村誠さんのナビゲートのもと、日本センチュリー交響楽団員、大阪音楽大学教職員とともにオリジナルのオーケストラを結成しました。様々な音楽ジャンルはもとより、参加者の音楽経験、年齢、所属を越えた、たくさんの人が集い奏でる音楽です。会場とオンラインを繋ぎ 12 月から6回のワークショップを経て創作した「雪つもり 時の流れが 春をよび」を世界初演。新しいオーケストラを世界に向けて紹介します。 >

 

https://www.youtube.com/watch?v=zdV2Mh-9VuU

 

2021年1月17日(日)

日時:2021年1月17日(日)

会場:豊中市立ローズ文化ホール 主催:豊中市 共催:日本センチュリー交響楽団豊中市市民ホール指定管理者 協力:大阪音楽大学、しょうないREK

曲目:「⽇羅印尼中の知⾳」

<めざせ、世界にひとつのオーケストラ!「世界のしょうない音楽ワークショップ&音楽祭」は音楽の経験がなくても、大人でも子どもでも、だれでも参加できる音楽プログラムです。クラシック、邦楽、民族音楽など様々な音楽が交じり合い、ここにしかないオリジナルの音楽を奏でます。2020年度は各自宅をオンライン会議システムのZoomを繋いで6回のワークショップを開催。それぞれ日本、ルーマニア、インド、インドネシア、中国の音楽を基に新たな音楽のアイデアを出して、そこから新曲「⽇羅印尼中の知⾳」が生まれました。豊中市立ローズ文化ホールで開催した音楽祭で初めて出演者全員が実際に会うことができ、自分たちのオリジナルの音楽を合わせて演奏しました。その演奏の様子をご覧いただけます。コロナ禍でもできるオンラインでの音楽交流の演奏をご覧ください。 >

 

https://www.youtube.com/watch?v=tVZx1HFaSD4

 

 

2020年 ワークショップのみ、コロナ禍で音楽祭は中止

 

 

2019年2月9日(土)

会場:豊中市ローズ文化ホール

曲目:青少年のためのバリバリ管弦楽入門

世界のしょうない音楽祭 第2部~世界のしょうないワークショップオーケストラ

主催:豊中市 共催:(公財)日本センチュリー交響楽団豊中市市民ホール指定管理者 協力:(学)大阪音楽大学、しょうないREK 公募によるワークショップの参加者、大阪音楽大学教員、日本センチュリー交響楽団楽団員

<作曲家の野村誠さんがワークショップを経て創作した管弦楽曲。西洋楽器、邦楽器、アジアの民族楽器、教育楽器による「豊中発」21世紀のオーケストラによる演奏です。 ナレーションと演奏による導入~イギリスの作曲家ブリテンに捧げる3拍子の音楽~西洋の弦楽器の響きを味わう中間部~バリの音階にのって、大阪を歌いあげるフィナーレ という構成です。>

 

https://www.youtube.com/watch?v=IkIfbXdXrls

 

 

2017年2月25日(土)

会場:サンパティオホール(豊中市庄内)

<子供から大人まで総勢50名の市民と日本センチュリー交響楽団大阪音楽大学のプロの音楽家、学生が集まり、一緒にオリジナルの音楽を創作し、演奏する豊中市の事業「世界の庄内音楽ワークショップ」。その成果として地元の市民団体「しょうないREK」が開催する「世界のしょうない音楽祭」にて演奏しました。作曲家/ピアニストの野村誠さんの進行のもとオーケストラ楽器、邦楽楽器、シタールガムランなど世界の楽器が集まり、大オーケストラが出来上がりました。

出演:世界のしょうないオーケストラ 野村誠、日本センチュリー交響楽団楽団員、大阪音楽大学教員、学生有志、豊中の皆さん>

 

https://www.youtube.com/watch?v=WinIghataes

 

2016年1月23日(土)

会場:サンパティオホール(豊中市庄内)

平成28年(2016年)1月23日、庄内西町にあるサンパティオホールで 世界のしょうない音楽祭が行われました。

企画:豊中市 制作:J:COMじぇいこむ豊中・池田 豊中市、かたらいプラザ、豊中市広報番組、Toyonaka city>

 

https://www.youtube.com/watch?v=AssebjqqsQM

 

 

 

参考論文

井口淳子

コミュニティ・アートとしての音楽

「世界のしょうない音楽ワークショップ」(2014〜2019)の実践より

大阪音楽大学研究紀要 58 8-24 2020年  

https://www.jstage.jst.go.jp/article/daion/58/0/58_8/_article/-char/ja/