20年以上会っていない友から「今日は中秋の名月だから、夕飯後に散歩がてらお宅に会いに行くわ」と連絡あり。
彼女の家は駅前で私のところは山の上、急な坂道を汗をかきつつ登ってきてくれた。
長く会っていなくても遠慮や緊張があるわけではなく、リビングの電灯を消して、庭の真上の満月を眺めながらゆったりと雑談。
同じような年代の中国研究者で、男女二人の子どもを育て、いつもバタバタしているところもすごく似ている。
共通の話題には事欠かないのだけれど、最後に「台湾はステキであたたかくて居心地がいいけれど、私は大陸だなあ」という彼女の言葉に思わず膝を打つ。
そう、台湾、大好きだけれど、大陸のあのガツン、ゴツンとくる衝撃がないのが物足りない。大陸の奥地で、目が点になるような出来事が山のようにある、あれこそ「ザ、中国」。
「今度、いつ大陸に行けるかねえ、当分は無理かなあ」と話しながら、彼女は明るい月夜の坂道を自転車で帰って行った。
台湾出張から戻った愚息。なぜかいつも私にお土産を買ってくる。普段は話もあまりしてくれないのに。